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教育再生会議 次の社会を担う若者を社会総がかりで支援
インターンシップは企業の社会的責任(CSR)のひとつ
戦後、同郷香川県の偉大な先輩である南原繁(なんばらしげる・元東大総長)先生は、子どもたちの「人格の完成」を願って教育基本法の策定に従事されました。
私たち日本人は経済復興や高度経済成長を進めることによって「モノ」の豊かさを手に入れました。しかし、その一方で、知識や技術に偏重し、ある意味で「こころ」を教育のシステムにうまく落とし込めないまま、今日まで来てしまっています。
もともと日本の社会にあった「自由には規律・権利には義務が一対」という個人の尊厳と公共心とのバランスを取り戻すために、教育が先か、社会が先かわかりませんが、これからは教育も社会も変わっていくべきでしょう。
「個と公のバランス」が必要なのは企業も同じです。「企業独自の営利活動の自由」に伴う「企業の社会的責任(CSR)」という「顔」がなければ、社会からの信頼が得られず安定した経済活動を行っていけない時代が来ています。教育もCSRの重要な要素の一つです。
幼い子どもを持つ社員のために企業内保育所を作ったり、インターンシップなど学生と社会との接点になる教育に取組んだりすることで、企業自体も発展していくのだと思います。もちろん大学側でも、社会と連携するために組織ぐるみで改革に取組む努力が必要です。
「顔」のある学校教育を
以前、学校視察で地方の工業高校を訪問させていただいた折、地域の工場で地場産業と協力して職業教育に取組む生徒たちの、生き生きと働き、学ぶ姿を目の当たりにした際には、私は感動すら覚えました。
私はこういう前向きな若い力こそが、日本の将来を担い、地域の再生を成し遂げるのだと思います。私が視察させていただきましたのは小学校から高校まででしたが、「この学校ならでは」の顔があるのがいい学校というのは大学も同じでしょう。
少子化時代を迎え、これから国公立大学・私立大学を問わず経営の効率化に向けた改革が始まりますが、ローカリズムを軽視してはいけません。私は「日本トップレベルの知」を担って世界のトップ校と競合していく一部の学校だけでなく、それぞれの地域の文化や伝統を担う「地域の学校」もまた、大学変革の核となっていくと思います。
世界を舞台に闘っている企業には必ず「日本の◯◯」という顔があります。資生堂が世界の市場で闘っていけるのは、「日本の資生堂」、「東洋の資生堂」というローカルの顔、拠って立つ基盤があるからです。みなさんの身につけるべきアカデミズムもまた、しっかりと根をはったローカリズムに接ぎ木したグローバリズムであることが大切だと思います。
「今、何があるべき姿なのか」を問いかける意義
私が子どもの頃、祖父母に「お天道様が見ているよ」とか「世間様に恥ずかしくないように」と言い聞かされたものです。こういうことは親に言われるより祖父母に言われた方が素直に耳に入りました。当時は「向こう三軒両隣」の地域の人たちが子育てに関わっていて、日本中に「親より怖い近所のおじさん」がいました。
親子を孤立させずに、おじいちゃん、おばあちゃんや地域の人が協力して子育てをしてきたのは、日本の社会の知恵であり、文化でもあります。こういう伝統をうまく引き継げなくなったのが、少子化や家庭の教育力低下につながっているのではないでしょうか。戦後の経済最優先の風潮のなかで失われた世代間や地域社会の協力を補うには、社会総がかりで親子を守り、次代を担う若者の育成を支援することが必要なのです。
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