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模索しながら道を見つけていけ
自動車会社 じゅん
(平成18年度 経済学部卒業)
実際に社会人として働き始めたフェーズにある自分が思うのは、就職活動とは企業と自分とのマッチングであるということ。その業界、中でもその企業と、自分の特性や社会人としての理想像とのリンクを論理的に説明できれば、企業と学生とのいい出会いが自然と生まれる。「俺は~から内定を貰った」という議論も結構だが、受験のように偏差値という絶対的基準で一元的に能力を測られる競争では決してないのだと思う。
インターンシップ
自分がどんな業界で働きたいかを確認する契機になったのが、某銀行でのインターンシップだったと思う。開示されている情報をもとに実在の企業に対してM&A提案をし、パワーポイントを使ってプレゼンテーションを行う、という内容。銀行ビジネスをオフィスでまさに体感できたこの経験は有意義だった。結果として金融業界の志望順位は低下したが、(自分がプレイヤーになってヒトやモノを動かし、世界を舞台に何かを実体として発信する、という自分が社会人生活に求める要素が希薄だったため。)自分が興味を持っていた業界のありのままの姿を肌で感じることができたからだ。インターンシップとは、企業が自社の経営資源を割いて、何も知らない学生にその業務内容を経験させてくれる貴重な機会である。
就職活動
とにかく部活に没頭していた学生時代の自分にとって、就職活動は生まれて初めて自分が社会に出て働くということをリアルに感じた体験だった。
初めは何をすべきか全く見当も付かなかったのを覚えている。しかしとにかく何かしなければと思い、就職本を買ったり先輩に話を聞いたりして、就活の真似事から始めてみた。考えてみたのは自分が今まで力を入れてきたこと、そしてそれは何故か。そこから自分のどんな面が見えてきて、それをうまく活かせるのはどんな業界のどんな企業なのか。そんなところからスタートして、先輩の話を聞きに行ったり企業説明会に参加したりを繰返し、自分のアピールポイントと志望の方向性を固めていった。
経済学部だったこともあり、僕は就活の初期段階では理由も無く銀行に行きたいと思っていた。しかし時間が経つにつれ、「グローバルでスケールが大きく、自分が成長できる」「自分のした仕事の成果を物理的に感じることのできる」業界で働きたいと思い始めた僕は、商社やメーカーに魅かれはじめた。
三年生の12月
OB訪問した先輩に経済小説を読んでみることを勧められ、初めて経済小説を読んでみた。多少専門じみた内容も学部で学んだ知識をもとに理解できるのが楽しかったし、また就職活動の一環として金融の世界で何が起こっているのかを知るのは損にはならないだろうとの思いからだった。読み始めると面白く、中でも特に気に入った黒木亮という作家の小説を読み漁る。そのうちに、僕は世界を股にかけて企業買収をする金融マンに憧れるようになった。
12月半ばにA銀行のインターンシップに応募、年末に参加を認めてもらった。ソースは開示情報だけだったものの、実際に霞ヶ関のオフィスで実在の企業のM&A提案をしなさいというカリキュラムはタフながらも面白く、投資銀行業務の志望度は高まった。
三年生の1月
いろいろなツテをもとに、興味を感じていた様々な業界のOBの方々のお話を聞きに行った時期だった。まずは銀行マンの先輩。志望動機を聞いた際の、「メーカーとは違って、実際に扱っているものが見えないから、良くも悪くも自分の提案勝負になってくるよね。」という言葉になるほど、と思う。商社の先輩には「(モノの売り買いで利鞘を稼ぐ、という従来の商売は重要なものの、)自分で市場の隙間を見つけビジネスを創り出す、というビジネスモデルは、他にはない。」と言われ、商社にも強い興味を抱いた。
説明会に参加したり会社説明を読んだり、業界本を読んだりして暫く志望動機を考える日々が続いたが、知らず知らずの間に商社に強く魅かれている自分に気付いた。その時は、商社の仕事がグローバルであること、給料がいいこと、そして事業を創り出すのが本業であることがその理由であると自覚していた。しかし、なんだかんだ言っても、一番インパクトに残ったのが、中東の砂漠で自分の手がけたプロジェクトで建てた石油工場をバックに佇む男のB物産のパンフにあった写真だったのは、うまく説明できなかった。
三年生の2月
引き続き説明会や業界研究に時間を割く日々が続く。そんなある日、たまたま大学の部活の先輩でC自動車に勤めている方が東京に帰ってきており、話を聞きに行くことができた。グローバルという点でメーカーにも興味があった僕は、前の月に銀行マンの先輩から聞いた「メーカーはモノの性能勝負、理系の世界」という言葉についてどう思うか聞いてみた。その時先輩は自信を持って、「良いモノを作るには、技術だけじゃ全然足りない。例えばマーケティングも部品調達も販促企画も、自分の頭から捻り出さなきゃ話にならない」と答えてくれた。
実はその頃、商社のことばかりが頭にあり、メーカーを忘れかけていた。しかし、先輩の言葉に、メーカーを食わず嫌いしていたことにハッと気付き、僕は改めてもう一度自分の志望理由を考え直してみた。「何故自分は商社にこんなにも魅かれているのだろう?そして、中でも砂漠に佇むオジサンのこの一枚の写真にインパクトを覚えるのは何故なのだろう…?」
数日考えた後、それは自分が苦労して創り出し、莫大なヒト・モノ・カネを動かして立ち上げたプロジェクトを前にしたその商社マンに、自分像を重ね合わせているからだと気づいた。そして自分が商社にこんなにも惹かれているのは、世界を舞台にスケールの大きい仕事を任され、自分でそれを主導でき、その成果を見て触って感じることができるからなのだと思った。
そうすると、自分の中ではメーカーの方が金融よりも志望度が高くなった。あくまでも自分にとって、金融はあくまでカネを融通することで他の業界をサポートする業界だからである。提案内容を実現するための直接的なプレイヤーたりえないのではないか。
三年生の3月
志望が固まり、説明会もなく、エントリーシートを書くのに費やした時間が多かったため、あまり発見はナシ・・・。
四年生の4月
面接が始まる。A銀行からは早々と内定が出る。D銀行以外の銀行の選考はその場で辞退したが、後日同銀行の最終面接がB物産の面接とカブり二者択一を迫られたため、結局銀行は完全に辞退。しかしその後、最も志望順位の高かったE商事、B物産とはよいご縁がなかったらしく、面接段階で落とされた。以後F商事、C自動車からは内定を貰ったが、G商事の選考も続いていた。
どこに行こうかと考えたとき、僕の中には業界のトップで働きたいという気持ちがあったことに気付いた。2,3番手企業は前の背中を追っていくこともできるが、1位の企業は自分で業界を切り拓き、リードしていかなければならない。業界フロントランナーとしての仕事のスケールの大きさと厳しさは、自分を必ずや成長させてくれるだろう―こう思い、僕はC自動車以外の選考・内定をすべて断り、ここでお世話になろうと決意した。
新社会人
車に使う部品を、国内外問わずサプライヤーさんから買ってくるのが、今の僕の主たる業務。まだペーペーだから何も知らないけれど、いつかは「自分が創り出して」「莫大なヒト・モノ・カネを動かす」仕事をしたい。それまでは、自分の夢の最も根っこにある「世界のどこでも活躍できる能力を持ったビジネスマン」になるべく、努力していきたい。どの部品かはまだ判らないけれど、もうすぐ街中には自分が買ってきた部品を乗せた車が走り出す。
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